循環型社会の形成を目指し全国から多数来場
環境省、環境省関東地方環境事務所、埼玉県、3R・資源循環推進フォーラム主催による「第18回3R推進全国大会」が10月24日、さいたま市プラザノースにて開催され、循環型社会の形成を目指す事業者、自治体関係者など全国各地から約400名を超える参加者がありました。
3R推進展示コーナーが設けられ、サーキュラーエコノミーの先進的な取り組みを行う多くの企業が出展、当社も「サーキュラーBASE美女木」のポスター展示を行いました。
大会式典では循環型社会形成の推進功労者へ環境大臣表彰がありました。
6次産業+リサイクルを融合させた「食品リサイクルループ」による独自の7次産業化を目指すウム・ヴェルト株式会社、太陽光パネルリサイクル事業を推進する株式会社新菱、変圧器から取り出した使用済絶縁油リサイクルシステムを構築する株式会社キューヘン、高濃度PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の処理を商用のものとしては日本初の処理方式を3社で実行した北九州環境プラントサービス株式会社、豊田環境サービス株式会社、株式会社エコクリエイト大阪の各社が受賞されました。
縦割りを打破し、環境と経済を両立
サーキュラーエコノミーによる地域活性化と質の高い暮らしの実現に向け、目指すべき循環型社会の将来像をテーマとして記念シンポジウムを開催。3R・資源循環推進フォーラム会長 細田衛士氏による基調講演「サーキュラーエコノミーの達成に向けた各主体の役割」に続き、大野元裕埼玉県知事による特別講演では、埼玉県の生まれである渋沢栄一が説いた「道徳と経済の両立」に触れ、従来の縦割り行政を打破し、環境部と産業労働部、および外郭団体である産業振興公社による連携体制で推進しているさまざまなサーキュラーエコノミー施策についてお話がありました。
埼玉県SDGs官民連携プラットフォームの構成組織として、令和6年6月に設置された「サーキュラーエコノミー推進分科会」の取り組みにおいては、家庭の使用済みリチウムイオン電池資源化に向けてレアメタルを資源回収できるかどうかの実証実験も紹介されました。
さらに、リーディングモデルの構築に向けた補助金制度に力を入れており、先進的なCE型ビジネスの創出支援や、産業廃棄物処理事業者の再資源化の高度化に向けた設備導入支援、設計段階からサーキュラーデザインを意識した製品づくりを目指すビジネスモデル構築への支援、食のサーキュラーエコノミー技術導入支援など、今年度は全体で20件のモデル事業が採択され、進行しています。
当メディアを運営する新井紙材株式会社は、令和6年度埼玉県サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル創出支援補助金において「古紙のメタン発酵実証および環境学習プラットフォーム事業」が採択されました。
サーキュラーエコノミーへの大きな転換が求められる今、大野知事は「人口減少と超少子高齢化社会の到来、そして激甚化・頻発化する災害、危機という歴史的課題に立ち向かい、未来志向の施策を展開し埼玉県の持続的な発展を確かなものとしてまいります」と語りました。
浦和レッズSDGs取り組み事例
続いて、さいたま市をホームタウンとするサッカークラブ、浦和レッドダイヤモンズ(浦和レッズ)によるサーキュラーエコノミーの事例報告が行われました。
「浦和レッズSDGs」で取り組む重点施策として、令和5年度より埼玉県環境部資源循環推進課と埼玉スタジアム、そして浦和レッズパートナーの株式会社エコ計画、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社と連携し、埼玉スタジアム2002で行われる浦和レッズのホームゲーム全試合で実証実験を開始。ペットボトルの3分別(ボトル・キャップ・ラベル)回収の啓発のため、選手を起用した動画を大型ビジョンで放映。回収したペットボトルからマグカップやカトラリーなどアップサイクル商品を制作・販売しています。
試合会場には「サーキュラーエコノミーブース」が設けられ、9月21日に行われた浦和レッズ戦Autumn Festival 2024において、当メディアでは親子を対象としたゲーム機の分解「レアメタル循環ワークショップ」を出展し、サーキュラーエコノミー啓発活動のお手伝いをさせていただきました。
その他にも浦和レッズでは、令和6年度から新たにホームゲームで排出された食品残渣を回収して堆肥化し、肥料を使用して野菜を育てる「埼スタフードサイクルプロジェクト」にも取り組んでいます。収穫した野菜を使用した中華丼をスタジアムグルメとして販売、今後、第二弾のスタジアムグルメも販売が予定されています。
パネルディスカッション「地域におけるサーキュラーエコノミーの推進と実践」
持続可能な未来への道筋を探るパネルディスカッションでは、3R・資源循環推進フォーラム副会長・全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会会長の崎田裕子氏をコーディネーターに迎え、パネリストからのサーキュラーエコノミー事例紹介とともに、さまざまな課題への取り組みが語られました。
大日本印刷株式会社では、多彩な事業で培った知見を活用し、リサイクル工程のトレーサビリティを確保し、取り組みの「見える化」を実施するなど環境問題解決を支援。組織横断型の環境専門チームを結成して、事業者のサスティナビリティ目標達成や、環境と事業をつなぎ企業価値向上に貢献しています。再資源化した材料から何をつくるか、デザインの力で資源循環の魅力的なアウトプットも提案しています。
西村氏は、資源循環において埼玉県のサーキュラーエコノミー推進プラットフォームに参画したことで、今までは1つ前のサプライチェーンの方としか関われていなかったが、プラットフォームによって複数のサプライチェーン各社と対話ができ、資源循環における「つながり」が求められていると語ります。
株式会社木下フレンドは、ペットボトルの「ボトルtoボトル」水平リサイクルの取り組みに参画。2022年より、東武鉄道・東武東上線33駅に設置したリサイクルボックスから回収された使用済ペットボトルの中間処理(減容処理)を担い、リサイクラーである豊通ペットリサイクルシステムズ株式会社に供給、そしてキリンビバレッジ株式会社による再原料化・再商品化を行う実証実験であり、回収を一括して行うスキームとボトルtoボトルの循環サイクルを共同で構築しています。
「捨てない社会をかなえる」というビジョンのもと、不用品の回収・選別・再流通を一気通貫で行う仕組みづくりに特化した「地球にコミットする循環商社」株式会社ECOMMIT。地域資源回収ステーション「PASSTO」の設置や資源回収の見える化も実現しています。
衣類回収ボックスのユーザーに行った「サスティナビリティ消費の動向調査」によると、「環境に貢献できること」を理由に利用した人が61%、衣類回収ボックス利用のために店舗へ来館した人が43%という調査結果となり、行動変容が意識変容をもたらしています。
田崎氏からは、サーキュラーエコノミーの国際的な指標開発の動向や、WRI(世界資源研究所)BEF(ベソス地球基金)などがパートナー&資金提供者となっているSystems Change Labによるグローバルレベルの指標データプラットフォームの情報をもとに、サーキュラーエコノミー実現に向けたマインドセットを変える重要性をお話いただきました。
パネリストの方々からは動脈産業・静脈産業という枠組みを超えた連携、民間業者や市町村の動きをコーディネートする都道府県の役割の重要性など、地域におけるサーキュラーエコノミー実践への期待や課題について熱い議論が交わされました。
循環型社会形成に関連する先進的な取り組みの展示コーナーで交流会
展示コーナーは大野元裕埼玉県知事の視察もあり、当社の取り組みについて説明させていただきました。
会場では小中学生の3R促進ポスターコンクール最優秀賞作品展示のほか、サーキュラーエコノミーに関する先進的な取り組みを紹介する循環型社会形成に関連する展示コーナーが設けられました。環境省や自治体、NPO、企業団体、当メディアの取材にご協力いただいた日榮新化様や、ECOMMIT様、東京サーキュラーエコノミー推進センター様などおよそ40件が出展。
参加者交流のための特設ステージ「イグナイトステージ」も開催。株式会社DNPエスピーイノベーションによる「再生素材を活用したデザインソリューション」の紹介、株式会社ティービーエムからは食品工場の油泥をオンサイトでバイオマス資源化する事業、公益社団法人食品容器環境美化協会が普及推進する「まち美化活動アダプト・プログラム」、天城屋株式会社が試行している生ごみオンサイト処理機による持続可能な社会構築の取り組みなどのプレゼンテーションが行われました。
各企業の積極的な発信で、サーキュラーエコノミーの未来と共創へ向けた交流の場となりました。