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規格外ビスコが豚肉とし食卓へ。多主体連携で描く循環型モデルの実装【江崎グリコ株式会社】

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長年、子どもから大人まで親しまれている「ビスコ」。

その製造工程で発生する“規格外ビスコ”を、単なる廃棄物ではなく資源として循環させる取り組みがグリコで進められています。工場で発生した食品ロスを飼料化し、その飼料で育った豚の肉を社員食堂や保育園の給食で提供する。まさに“おいしい循環”のモデルケースともいえる仕組みです。


今回は、グリコマニュファクチャリングジャパン株式会社神戸工場の枝廣 恒介氏に、この取り組みの背景や工夫、今後の展望について伺いました。

規格外のビスコが豚肉になるまで

――まず、規格外ビスコの循環の基本的な流れを教えてください

工場でビスコを生産する上で、重量過不足や形状不良など、どうしても規格外品が発生してしまいますが、規格外となったビスコは廃棄せず、飼料として養豚場で活用されています。


その飼料で育てられた豚肉を自社で買い取り、社員食堂などで調理・提供することで、食品ロスの循環型活用を実現しています。現在は食堂の調理業者が変更されたため、この循環は一時的に停止していますが、再開に向けて調整を進めております。


――このような循環型の仕組みを始めたきっかけや狙いについて教えてください。

前提として、私たちはまず、工場から発生する廃棄物を極力減らすことを重視しています。そのうえで、やむを得ず発生する食品廃棄物についても、単に廃棄するのではなく、価値ある形で再活用するという考えを持っています。

こうした方針のもと、食品廃棄物を飼料化し、その飼料で育てられた豚肉を購入・提供するまでを一体化した循環の仕組みを、2019年1月に開始しました。

提供画像:以下同

また、「Glicoグループ環境ビジョン2050」(2021年3月制定)において、2030年までに2015年比で食品廃棄物を95%削減する目標を掲げています。廃棄物を「資源」として捉え、可能な限り循環させることを目指しています。

循環スキームを支える連携体制づくりの工夫とは

――この仕組みを回すための体制づくりで、工夫した点や苦労した点はありますか?

工場、飼料業者、養豚場、食堂運営など、複数の関係者が関わるため、情報共有と役割分担の明確化が重要でした。社内外での連携体制を整え、円滑なコミュニケーションを図ることで、持続可能な仕組みを構築できたと考えています。

――社員や保育園での反応はいかがでしたか?

社員や保護者の方々からは、「保育園の給食で食品資源の再利用に少しでも貢献できることを嬉しく思う」「環境への取り組みを身近に感じられる」というような前向きな声をいただいています。このような声は、私たちにとって大きな励みになっています。

――今後、この取り組みをどのように発展させていきたいと考えていますか?

まずは、社員食堂での提供を早期に再開することを最優先に取り組んでおります。同時に、今回構築した循環スキームをグリコグループ内の他工場へも段階的に展開し、「食品ロス削減」と「資源循環」を両立させるモデルケースとして、社内外へ広く発信していきたいと考えております。

この取り組みは、食品ロスを自社だけでなく、地域やパートナーとつながりながら社会的価値へ転換するという点がポイントです。生産現場、飼料化、養豚場、そして食堂という異なる領域を一つの循環にまとめ上げ、再び食卓に戻す仕組みは、私たちが目指すサステナビリティ経営の体現でもあります。

引き続き、この循環型モデルをより実効性の高いものへと発展させ、グループ全体で共有・拡大できるよう取り組んでまいります。

▶CE.Tでは、これまでも資源循環に関するさまざまな取り組みを紹介しています。よろしければ、下記の記事もあわせてご覧ください。