CE.Tでは、昨年秋より「レアメタル循環ワークショップ」を各地イベントや「サーキュラーBASE美女木」にて計6か所、延べ11日間にわたって行ってきました。ゲーム機解体を通じて、電化製品のリサイクルと都市鉱山(レアメタル)の重要性を探るものです。ワークショップ参加者の皆さんに協力いただいた分別や環境教育に関するアンケートの結果をお知らせいたします。
700人以上が381台のプレイステーションを解体
電化製品には鉄やアルミ、銅、レアメタルと呼ばれる希少金属が多く含まれています。しかし、日本では年間約65万トンの小型家電が廃棄され、そのうち約28万トンのレアメタル(約844億円相当)が適切に活用されていません。
「レアメタル回収ワークショップ」では、これらの埋もれた資源を適切に廃棄、リサイクルすることの重要性を啓発し、多くの市民にサーキュラーエコノミーを身近に感じてもらうことを目指しました。

イベントには合計724名が参加し、381台のプレイステーションが解体されました。解体によって得られた資源は、プラスチック約209kg、金属類約198kg、基板約90kgに及びました。
プラスチックにおいては、UNEPの報告書「SINGLE-USE PLASTICS」(2018年)によると、日本は一人当たり年間約32kgのプラスチックを廃棄しているとされています。今回のイベントで回収されたプラスチックは、約6.5人分の年間廃棄量に相当し、家庭に眠る電化製品の潜在的な資源量の大きさを示唆していると言えます。

家電・リチウムイオン電池のリサイクル方法の浸透が課題
ワークショップでは参加者にアンケート調査も実施し、リサイクルに関する意識を明らかにしました。
「リサイクルをしたことがある資源を教えてください。(複数回答可)」においては、ペットボトルが最も多く、家具、家電、金属類、リチウムイオン電池が少ない傾向にありました。また同様に「リサイクルの方法が分からないものを教えてください。(複数回答可)」の問いにおいても、リサイクル経験の少ない、リチウムイオン電池、家具、家電が多く、一方で、ペットボトル、プラスチック容器は少ない回答になりました。


85%が環境教育の機会を持つ
「自身またはお子様の教育機会について教えてください(複数回答可)」の問いでは約85%が何らかの環境教育の機会があると回答しました。

この結果より、環境教育の機会があるにも関わらず、特にリチウムイオン電池や家具、家電のリサイクル方法が浸透していないことが明らかになります。
参加者は「環境に良いことをしたい」と考えているが、「どうすればよいかわからない」と感じていることが推測されます。今後リチウムイオン電池をはじめとした資源循環を推進するにあたって、サーキュラーエコノミーに関する情報に触れる機会を増やし、生活者の協力を得ることが重要です。
参加者からは
- 子どもが実際にレアメタルを取り出すための作業を体験できたので、楽しくリサイクルを学ばせることができて良かった。
- ゲーム機の解体を見たのは大人も子どもも初めてで貴重な体験でした。レアメタルがどこに使われているのかもよく分かりました。
- 基板や金属、プラスチックを分解することでリサイクルでき資源循環できることを体験を通じて感じることができました。
- 実際に分解してみて、意外と難しくなく自分でもできそうなリサイクルだと思いました。不燃ごみに出す前に一度立ち止まって、トライしてみることが大切だと感じました。本当にごみなのか問いていけるようにしたい。
- 自宅にあったゲーム機を分解するようなことはなかなかやる機会がないので新鮮な体験でした。
などの感想をいただきました。


「レアメタル回収ワークショップ」を通し、多くの参加者に、家庭に眠る電子機器には、想像以上の資源があり、これらを適切にリサイクルすることで、資源の有効活用と環境負荷の低減につながることを体験的に示すことができたのではないかと思います。
今後CE.Tではこのようなワークショップを続けるとともに、浮かび上がった課題に対して、より効果的な環境教育とリサイクルシステムの構築について考えてきたいと思っています。
親子に大人気のレアメタルワークショップの開催は?
行列ができるほどの人気ワークショップとなった本イベント。CE.Tでは、自治体や企業様の環境フェアなどにてレアメタルワークショップの開催が可能です。お問い合わせフォームより「その他」を選択し、時期、趣旨などの詳細をお知らせください。