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子どもたちへのリサイクルの働きかけ

子どもたちの工場訪問風景

―Bebat社が行う啓蒙活動について、詳細を教えていただけますか?

具体的な啓蒙活動の一つとして、教育機関・子どもたちへの働きかけがあり、「Villa Pilla」というBebat内の別ブランドにて対応しています。ときには教育機関を訪問したり、ビジターセンターに訪れる教育機関・子どもたちへバッテリーの働きやリサイクルの重要性を伝えています。

他にはTシャツなどのグッズを作ることはもちろん、教育用Webページを制作し、小学校の関係者に教育資料を無料でダウンロードできるようにして、授業で利用していただいています。

―テレビやラジオなどのメディアも利用していますか?

広告では単純な家庭用アルカリ電池だけでなく、各種家電にバッテリーが内蔵されていることを伝える動画も用意しています。

また、一般家庭へも無料で小さな紙製の回収ボックスを配布しています。過去にはプラスチック製の回収袋も配布していましたが、環境配慮の面から紙製に変更しました。

一般家庭向け無料紙製回収ボックス

―うまくいった事例やそのポイントについても教えていただけますか?

広告を出す場合、ポジティブなメッセージを伝えることが非常に大切です。例えば「電池を回収ボックスへ持ってくることで私たちの活動をサポートしてください」というようなメッセージです。
受け手を否定するようなネガティブなメッセージ、例えば「あなたの行動は、環境に悪いことをしている」というような伝え方は効果的ではありません。

加えて昨今では、環境配慮や規制対応の意識が醸成されていない、VAPE(ベイプ)を含む電子タバコの製造・販売業者へのアプローチも行っています。この規制は、有名な製造業者のみならず、すべての製造・販売業者が対象となるため、コスト負担は公平に行われる必要があることも背景にあります。

2025年までにバッテリーのAI選別を実装予定

選別センター内
選別センター内
選別センター内

―回収されたバッテリーはその後選別されるとお聞きしましたが、具体的な分別方法についても教えてください。

Bebatには「Sortbat」というバッテリー選別を中心に行うグループ企業があります。
Sortbatにおける施設内での電池・バッテリーの選別プロセスは大きく4つに分かれます。前処理では大きな廃棄物を除去します。その後マニュアル選別に移り、パッケージの開封や不要な包装材などを除去します。次のメカニカル選別では、機器のボタンやシリンジなどを除去します。

最後に自動選別となりますが、現在行っておらず、X線・AI・3Dレーザーなどを組み合わせた新しい自動選別機を用いるよう開発・試験導入しています。 

新しい自動選別機のテストを行っている理由は、スマートホンやパソコン、タブレット端末などで利用されるバッテリーに含まれるレアメタルの回収効率を高めるためです。将来的には、回収ボックスにも同様の機能を設け、回収ボックス毎に素材を識別し、そのデータを収集できるようにしたいとも考えています。

また、今後の展開として、欧州では一定の残量があるバッテリーをリユースするという方針が出されており、それに対応するためAIセンサーで残量を可視化する技術を導入する予定です。
すでにAIにバッテリー選別のアルゴリズムを覚えさせることを実施しており、2025年までに工場での実装を目指しています。

プレゼンテーション資料より引用

ジョイントベンチャー設立で欧州全域の回収スキームを構築

―Bebatの取り組みは欧州各国でも広がっているとお聞きしました。

ReneosというEVバッテリーの回収を行うジョイントベンチャー企業もBebatのグループ企業にあります。Reneosはベルギーのみならずドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェーなどの企業が出資した企業です。

Reneosを設立した背景には、各国毎での対応ではなく、欧州全域を対象として欧州基準に準拠した対応を行いたいという企業側の希望がありました。Reneosでは問い合わせ窓口は1つでよく、言語も各国の言語に統一されており、請求書の発行も1つで済みます。

ただし先に述べたように、廃棄物の取り扱いは欧州域内であっても、廃棄される国で対応しなければなりません。自動車の製造業者にとっては悩ましい課題です。

そこで、それらの企業のパートナーとしてReneosが存在し、各国基準に沿った対応を行います。
電池・バッテリーの廃棄やリサイクルに関わる各国の規制について、知識・情報の深さにアドバンテージを持っています。例えば、スペインで廃棄物のバッテリーがあれば、顧客がプラットフォームのWebページに情報をアップロードし、我々が認識して対応する流れになります。

今後もベルギー国内だけでなく、欧州各国の課題の解決に取り組んでいきます。

取材協力:Bebat社
https://www.bebat.be/en