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埼玉県が家庭から出る使用済みリチウムイオン電池の回収に乗り出します。スーパーやコンビニに専用の回収ボックスを設置し、レアメタルの回収を目指す実証試験を開始。この取り組みは、資源の有効活用と安全なごみ処理の両立を目指すものです。

身近な場所で電池回収、レアメタルの再利用へ

埼玉県は、令和7年1月15日から、家庭から出る使用済みリチウムイオン電池等を小売店舗で収集する実証試験を開始します。この試みは、埼玉県SDGs官民連携プラットフォーム内「サーキュラーエコノミー推進分科会」の活動の一環として行われます。

なぜ今、リチウムイオン電池の回収が必要なのか

スマートフォンやモバイルバッテリー、加熱式・電子たばこなど、私たちの身近にある小型家電の多くには、リチウムイオン電池などの充電式電池が使われています。これらの電池にはコバルトやニッケルといったレアメタルが含まれていますが、その回収は十分に行われていないのが現状です。

一方で、適切に分別されずに不燃ごみや粗大ごみとして排出された充電式電池が、ごみ処理施設での火災発生の原因となっているという問題も指摘されています。このような背景から、リチウムイオン電池の適切な回収と、資源としての再利用が求められています。

どこで、何を、いつまで回収するの?

実証試験では、以下の2か所に専用の回収ボックスが設置されます。

  1. まるたけ騎西店(加須市):令和7年1月15日〜3月31日
  2. ファミリーマート埼玉県庁店(さいたま市):令和7年1月15日〜2月14日

回収の対象となるのは、以下の充電式電池等です。

  • 充電式電池:リチウムイオン電池、ニッケル水素電池
  • 充電式電池内蔵製品:モバイルバッテリー、加熱式・電子タバコ

回収時の注意点

回収にあたっては、以下の点に注意が必要です。

  1. 絶縁処置(テープでの端子保護)にご協力ください。
  2. 一度収集したものは返却できません。
  3. 15cm×15cm×10cmを超える充電式電池・充電式電池内蔵製品は回収対象外です。
  4. 膨張または破損している充電式電池は回収できません。

この実証試験を通じて、県は県民にとって利便性の高い分別回収スキームの構築を目指しています。スーパーやコンビニという日常生活に欠かせない身近な場所での回収を実現することで、より多くの人々が気軽に参加できる仕組みづくりを目指しています。

また、加須市とも連携し、同市の公共施設で収集したリチウムイオン電池等からのレアメタル回収も行います。この取り組みが成功すれば、資源の有効活用と環境保護、さらには安全なごみ処理の実現に大きく貢献することが期待されます。

県では、1月3日に川口市のごみ処理施設で発生した火災事故により可燃ごみの収集が一時停止するなど、リチウムイオン電池の適切な分別が喫緊の課題となっています。これを受け、排出者による適切な分別・回収の仕組みづくりに加え、回収・処理を担う事業者側のビジネスモデルの構築も求められています。

ニュースソース
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0507/news/page/news2025011501.html