東京ビッグサイトで12月10日から12日の3日間、環境問題や社会課題の解決を図るための様々な情報を発信する「SDGs Week EXPO」を開催されました。環境総合展の「エコプロ」の中から再利用が難しいとされる、アルミ付紙パックや竹、醤油粕など、どれも今後注目の次世代素材を扱うリサイクル企業や団体の活動をお届けします!
再利用が難しいアルミ付紙パックリサイクルを実現!

回収の仕組みが整備されずに、その多くが「ごみ」として処分されていたアルミ付紙パック。会場には、多くのリサイクル企業が出展する中で、特にリサイクルが難しいとされるアルミ付紙パックの「アルミ付紙パックリサイクルプロジェクト」に注目しました。
「アルミ付紙パックリサイクルプロジェクト」は、1999年にスタート。「NPO法人集めて使うリサイクル協会」と「印刷工業会液体カートン部会」が協同して推進するプロジェクトです。各地で回収の仕組みづくりやアルミ付紙パックリサイクルの啓発など様々な活動を展開しています。
「アルミ付紙パックリサイクルプロジェクト」

アルミ付紙パックは多層構造になっており、酒パック等のアルコール飲料や豆乳、一部のジュース、清涼飲料などに使用されています。牛乳パックと同等の上質の古紙原料ですが、構造の複雑さから、受け入れ製紙会社が限定され、回収拠点も殆どなかったそうです。
そこで、まずは、酒パックの回収からはじめ「エコ酒屋」が誕生。 今ではスーパーや生協、一部の自治体などでも回収に取り組む所が誕生し、リサイクルの輪が拡がって来ています。
どのようにリサイクルが可能に?

回収後、様々な種類のアルミ付紙パックは福祉作業所のベテランの作業員が手作業で仕分けます。各地で環境と福祉の様々なネットワークが誕生し、大きな循環システムの流れを作っているとのことです。
また、リサイクルする上で、綺麗に洗浄した状態であることがスムーズなリサイクルになるので、リサイクルに出す場合は、上記のイラストを参考にして回収ボックスに入れて欲しいとのことです。

ただ、残念ながら使用済みアルミ付紙パックの回収率はたった3.6パーセント。そもそも、アルミ付紙パックがリサイクル出来ることを知らずにそのまま破棄してしまっている方も多いとのこと。
まずは、アルミ付紙パックが再利用できることを知ること、そして、リサイクルに協力することで活動の和が広がることが大切だと担当者の方は話してくれました。
アルミ付紙パックの回収に協力するための「エコ酒屋」の登録や活動には 一切費用はかかりません。また、専用回収ボックスを回収に協力できる酒販店、スーパー、自治体等に無償で設置しています。ボックスを設置したい方、また、ボックスの設置箇所を知りたい方は、サイトをチェックしてみてください。
>>「アルミ付紙パックリサイクルプロジェクト」についてはこちらから
厄介者の竹を活用した日本で唯一の国産マスプロ竹紙

成長速度が早く、サステナブルな素材として注目が高まっている竹。しかし、日本らしい素材にも関わらず、実際は、竹製品は輸入が多く、国内で放置竹林が広がり、生態系を崩したり、土砂災害を起こすといった問題があります。
そんな厄介者の竹を利用して、製紙会社の「中越パルプ工業」では、日本で唯一、国産の竹100%を原料とした「竹紙(たけがみ)」を生産しています。
実は使い道のない竹

ナチュラルな素材で一見、イメージの良い竹ですが、実は放置され「竹害(ちくがい)」と呼ばれるほど、素材としては使い道のない厄介者。成長が早い分、空洞のため、木材に比べて効率が悪く、建築や紙素材としても使うのが難しい素材です。
「中越パルプ工業」は「竹害」の対策に挑むため、製紙工場として竹を紙の素材として利用できないか思案。竹林面積日本一の鹿児島県でも、特に竹林が多い薩摩川内市(さつませんだいし)に工場があるという利点を活かし、タケノコ農家、チップ工場の協力を得ながら試行錯誤を重ね、竹の集荷体制を築きました。現在では年間2万トンを超える日本で一番の集荷率を越えることになりました。
2009年には、国産竹100%の紙を製造販売し始め、日本の竹100%を原料とした紙をマスプロ製品として生産販売している、唯一の総合製紙メーカーとなりました。
目にも環境にも優しい紙

会場では、竹紙を使ったクリスマスツリー作りなど、実際に竹紙に触れることのできるワークショップなども開催。あえて、漂白せず、竹紙の素材の色をいかしたナチュラルなカラーは目にも優しく、印刷した文字が読みやすいという利点もあります。
実際に筆者も触れてみましたが、木材パルプと変わらない滑らかさでありながら、優しい手触りで、メモ帳やノートなど、普段使いしたいと感じました。また、竹は縁起物というイメージもあるので、ビジネスにも向いているので、ネームカードに使用したいと思いました。
次世代素材の「セルロースナノファイバー」にも注目!

紙以外にも注目なのが竹から抽出する「ナノセルロース」です。「ナノセルロース」は、木材などの繊維を直径10ナノメートル(1億分の1メートル)まで微細化した極細繊維で、鋼鉄の5分の1の軽さ、かつ5倍の強度を誇る素材です。
竹のものはアレルギー性が低く、さらに木材よりも強度があるなどの特長を持っています。現在では、化粧品や靴のゴム底などに使用した製品が出ています。製造には水しか使わないため、環境負荷が低く、今後注目の新素材です。
会場では「セルロースナノファイバー」が乳化する様子をデモンストレーションするワークショップありました。油と水はそのままで決して混ざらない性質ですが、「セルロースナノファイバー」を入れて瓶を振るとあっという間に混ざり乳化する様子に驚きでした。
利益だけではなく地域や環境問題に取り組む「中越パルプ工業」の試み
厄介者の竹が素晴らしい素材に生まれ変わる「中越パルプ工業」の試みですが、担当者いわく、竹は木材と比べて利用するには、手間やコストがかかり、決して効率的とは言えないとのこと。 それでも「中越パルプ工業」は、目先の利益や効率だけではなく、地域のつながりや持続可能な社会に実現のために竹の活用を模索していきたいと話してくれました。
廃棄か牛の飼料にしかならない醤油粕を燻製チップに!

醤油粕はなんと年間10万トンも発生しています。しかし、塩分・水分、そして食品リサイクル法遵守のため、引取優先のため牛の飼料一択となってしまい、価格がつかない状況です。 さらに、酪農家も20年前と比べて半減しており、あまった醤油粕は廃棄されているが現状です。
そこに目をつけたのが「Smoke-i-freet」の代表の辻 健太朗さん。醤油粕を燻製のチップにしてしまうという活用法を見出しました。
一般的に使用されるサクラチップは、近年のバイオマス需要による「ウッドショック」の影響で、過去5年間で価格が約1.5倍に高騰。もともと木材チップの多くは成長の遅い広葉樹で、建材には不向きなため植林されにくく、森林減少も相まって、入手が困難になる傾向が予測されます。
一方で、醤油粕は醤油が原料なので安定して入手することが可能です。そのため、燻製チップをより低価格で、そして安定的に提供可能とのことです。
燻製が見た目も良く、美味しくなる醤油粕チップ!

しかも、配給の安定性や価格だけではなく、燻製した素材が見た目も味も美味しく、保存性も高まるという利点もあります。
醤油粕にはアミノ酸と糖が含まれており、燻製の熱が加わることで「メラノイジン」という褐色成分が生まれます。これにより、従来のサクラチップよりも色付きが良く、低温や短時間での燻製を実現できるとのこと。
また、元々ある芳醇な醤油粕の薫香は、うまみと香りが合わさることで味わいの強さを引き立てます。燻製は塩分や糖分が気になる方もいるかもしれませんが、醤油粕の旨味やコクが加わり、塩分や糖分が少なくても満足感のある美味しさを実現できる燻製素材です。
殺菌作用や保存性の向上も期待!

また、醤油粕燻製材はサクラチップの約10倍ものフェノール化合物を含み、食品への殺菌作用や保存性の向上といった、新たな可能性も期待されているとのことです。
気軽に自宅で燻製を楽しめます!
「Smoke-i-freet」では、食品業界やレストランのオーナ向けに醤油粕燻製材を利用した商品開発の支援もしています。また、個人で燻製というとハードルが高いイメージがありますが、今は小さいもので卓上サイズ、またはトースターくらいの大きさ燻製器があるので、自宅で気軽に燻製を楽しむことができます。醤油粕の燻製チップの一般の販売も始まっているとのことなので、購入についてはウェブサイトにお問い合わせください。
>>「Smoke-i-freet」についてはこちらから
取材 Rina Ota