旧世田谷区立池尻中学校跡地を活用した複合施設「HOME/WORK VILLAGE」。去年の7月にグランドオープンしたばかりで、都内の廃校を利用したということで話題となっている施設ですが、どんな所か気になっている方も多いはず。カフェやショップのあるお洒落な場だけではなく、施設自体が再利用され、リユースの太陽光発電所やコンポスト発電、廃材を使ったワークショップなどSDGsやソーシャルアクションに繋がる活動も多く行われています。
「HOME/WORK VILLAGE」ってどんなところ?

旧世田谷区立池尻中学校跡地を活用した複合施設「HOME/WORK VILLAGE(ホームワークヴィレッジ)」は、2025年の7月オープン。暮らし(HOME)」と「仕事(WORK)」を見つめ直し、社会に残された「宿題(HOMEWORK)」に取り組むという意味が込められています。運営は、区が委託した「方方株式会社」が行っています。
建物内に入ると、一気にノスタルジックな雰囲気に包まれます。お洒落にリノベーションされつつ、元学校の良さはそのままに残されていて、木製の本棚や黒板、机や椅子などがそのまま使われています。
1階に飲食・物販店舗や配信スタジオ、シェアキッチン、2階に教育・文化施設やシェアオフィス、3階にスモールオフィスやミーティングルームあります。体育館も運動場としての機能、ダンスやヨガなど運動を楽しむスポーツクラブ以外にも、本屋やブックラウンジなどを備えています。
ただのオフィスビルでもなく、商業施設でもなく、シェアキッチンや配信スタジオ、ギャラリー、教育や文化施設などを通して、さまざまな人たちが働いたり、学んだり、遊んだりできるオープンな場です。
そんな「HOME/WORK VILLAGE」ですが、サーキュラーエコノミーを目指し、SDGsの理解を深める活動にも積極的なので、その活動を紹介したいと思います。
屋上プール跡地に太陽光発電所、リユース品を利用

屋上プール跡地には、太陽光パネルを使った発電所があります。見慣れた学校のプールにずらりと並べられた太陽光パネルというのがなんとも不思議な光景です。
「株式会社UPDATER」が運営する再エネ100%の小売電力サービス「みんな電力」の廃棄予定の太陽光パネルを再利用した都市型発電所「じりじりリユース発電所」です。
首都圏の商業施設で使用されていたリユース太陽光パネルを220枚設置し、建物と太陽光パネルの双方を再利用した、持続可能な都市づくりを象徴する取り組みとしています。また、名称は隣接の世田谷区立池尻小学校5年生の応募から選ばれたとのことです。
発電した電力は、「UPDATER」が展開する個人向けクラウド型発電サービス「ピーパ」で活用し、世田谷区民を優先提供することで「電力の地産地消」を実現するとしています。
かつてのプールが区民の暮らしを支える再生可能エネルギーの拠点へと生まれ変わり、個人向けクラウド型発電の発電所としては、日本初の廃校活用、日本初のリユースパネル活用、日本初の地産地消提供と、三つの意味で“日本初”の発電所となっているとのことです。
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生ごみを堆肥に変えるコンポスト

施設内にオフィスを持つ、ローカルフードサイクリング(LFC)社による生ごみを堆肥にする「コンポスト」も設置。LFC社では、「コンポスト」を家庭に取り入れても都心だと使い道がないという課題にも応えるため、施設内の菜園で堆肥が使えるよう、堆肥改修会など循環社会を目指した活動も行われる予定です。

また、「方方株式会社」の広報担当は、将来的には施設内のレストランなどから出た生ごみを回収し、堆肥にし、施設内の畑に活用するなど施設全体で循環できるシステムを構築したいとも話していました。
>>>「LFC社」についてはこちらから
微生物で発電?!「コンポスト発電」

屋上菜園と1階の入り口近くの菜園には「コンポスト」を使って、微生物の有機分解を利用し発電する「コンポスト発電」があります。土から豆電球が点灯するのが驚きです。
施設内には、レストランやミュージックバーなどもあり、夜も営業している店舗もあるので、暗い時間帯に訪れるのも「コンポスト発電」の豆電球の発光が見ることができるのでオススメです。
地道な活動ですが、「コンポスト」という言葉は聞いたことがあっても具体的にどういうものか見たことがない方も多いと思うので、実際に見たり、「コンポスト発電」を体験することで、循環型社会を目指すには何ができるかを考えるきっかけになると感じました。
循環型施設を目指す屋上菜園

屋上には都市型菜園があり、会員制のシェアファーム「ART FARM IKEJIRI」の他、郊外のワイナリーと提携した葡萄畑、養蜂場まであります。農作物やハーブなどの栽培方法を学ぶワークショップなども開かれます。

屋上の養蜂場で採れた蜂蜜は、一階の本屋・コーヒースタンドの「とつとつと」でドリンクとして楽しむことができます。
>>>「ART FARM IKEJIRI」についてはこちらから
捨てられる本を救うブックラウンジ

「HOME/WORK VILLAGE」でゆっくりしたい方に、特にオススメなのが2階のブックラウンジです。大きな窓からは明るい木漏れ日の差し込む、落ち着ける空間になっています。学校で使われた机や椅子もそのまま使われていて、懐かしい雰囲気に包まれながら、本を選ぶことができます。
ブックラウンジに置かれた本は、古本の買取販売をメインに行うオンライン書店の「バリューブックス」がセレクトした本で全て販売しています。
「バリューブックス」では、1日3万冊の買取のうち、約半分の1万5000冊が古紙として回収されています。年間となると約550万冊もの本が古紙回収に回るということです。その捨てられるはずだった本がこちらのブックランジには並んでいます。
販売方法を変えれば読み手がいるかもしれない、そんな希望が詰まった本が並んでいます。セレクトされた本は、思わず手にとって読みたくなる本ばかり。文庫本は220円、その他は330円とお求めやすいお値段に。絵本も多く並んでおり、親子で本選びを楽しむことができます。
ぜひ、二階にも足を運んで「捨てたくない本」を手に取ってみてくださいね。
>>>バリューブックス「捨てたくない本」プロジェクトはこちらから
100素材を使ったアップサイクルアート「コドモデパート」

また、SDGsやソーシャルアクションにつながるプログラムも多数開催されています。
その一つの企業・団体から届く端材や廃材など「100種類の多様な素材」を使って子どもたちが自由に創作する共創型アートイベント「コドモデパート」が2月に開催されました。
2024年に3社の素材の提供からはじめて以来、大好評で、今では協力企業が15社にもなり、「HOME/WORK VILLAGE」では初開催となります。
「コドモデパート」に初めてのお子さんが殆どにも関わらず、自由でのびのびとした雰囲気もあって、どのお子さんも夢中になって作品を作っていました。
どんな企業が素材を提供しているの?

廃棄コストをかけて処理される素材 が、アップサイクルされて子どもたちの創造的な学びに再活用されるだけでなく、環境配慮や企業の廃棄コスト削減にもつながります。持続可能な社会に貢献する活動に力を入れている企業も参加しています。
例えば、今年、新しく加わったのが、持続可能なイベント運営のためのマネジメントシステム規格を持ち、大阪・関西万博の「未来の都市」パビリオンのサーキュラーエコノミーをコンセプトとした展示の運営や設計に関わった「株式会社博展」です。
また、バイオマスプラスチックや水を使わない方法で染色したものなど、サステナブルなアパレル素材を扱う株式会社「クロップオザキ」なども参加しています。
次回はデパートでの初開催となる博多阪急にて2日間、2026年3月21・22日に開催予定とのことです。今回の「HOME/WORK VILLAGE」での開催は大好評で、次回は体育館を使って拡大しての開催も考えているとのことなので、ホームページをチェックしてみてくださいね。
>>>「コドモデパート」についてはこちらから
「HOME/WORK VILLAGE」の意義

文部省によると、少子化による児童生徒数の減少などにより、平成4年度から平成23年度までの20年間で、廃校となった数は6,834校となるとのことです。毎年平均約400校近くがなくなっていることになります。実は、東京は北海道に続いて廃校数が多く、全国で2位となっています。
世田谷区が23区内の好立地にも関わらず、コミュニティーとして残した「HOME/WORK VILLAGE」。廃校を活用した施設は地方には多いと思いますが、廃校数が全国2位にも関わらず、東京23区内で丸ごと廃校を使い、商業施設やコミュニティー施設を運営している場所は数少なく、貴重な存在でしょう。
「去年オープンしたばかりの『HOME/WORK VILLAGE』はまだまだ未完成の施設。皆さんと、ゆっくり、じっくり時間をかけて、作り上げていく場所だと思っています」と「方方株式会社」の広報担当は話してくれました。
いろんな楽しみ方のある「HOME/WORK VILLAGE」
食事や買い物に店舗を訪ねたり、ブックラウンジで一息ついたり、スポーツクラブで汗を流したり、屋上菜園でワークショップに参加してみたり、楽しみ方はいろいろ。今回、訪れてみて、半日でも丸一日でも楽しめる施設でした。
かつて学校だった建物を余すところなく使い、コミュニケーションが取りやすい雰囲気を作り出し、自然と人々が集まる雰囲気になっていると感じました。
また、SDGsの活動も押し付けがましさは全くなく、さりげなく、興味がある人がいれば一緒に考えていきましょうというスタンスなので、誰でも気軽にふらっと訪れることができます。
ここでは紹介しきれなかったレストランやカフェ、ミュージックバーなどたくさんの店舗がありますので、ぜひ、一度、足を運んでみてください。
>>>「HOME/WORK VILLAGE」についてはこちらから