記事を読む

大阪・関西万博でも最も人気のあるパビリオンの一つのサウジアラビア王国がナショナルデーを9月23日に開催しました。限定トートバッグの無料配布や人気過ぎて幻の「水の物語」の特別版パフォーマンス、そしてLisaのコンサートもありの驚きと感動の二日間をお伝えします。

リヤド州知事ファイサル王子が登壇!「サウジ・ビジョン2030フォーラム」


「サウジ・ビジョン2030フォーラム」で登壇するリヤド州知事ファイサル王子。

大阪・関西万博で次期万博開催国のサウジアラビア王国が9月23日のナショナルデーに先駆け、22日に「サウジ・ビジョン2030フォーラム」を開催。リヤド州知事ファイサル王子の基調講演で幕を開けました。
「ビジョン2030」の3つの柱である「活気ある社会、盛況な経済、野心的な国家 」を中心に据えた本フォーラムは、思想的リーダー、革新者、サウジの先見者たちが一堂に会し、王国の未来に向けた野心的なロードマップを共有しました。

パネルディスカッション、ショートフィルム上映、プレゼンテーションといった多彩なプログラムで、サウジの持続可能な開発、経済の多角化、社会変革に向けた取り組みについて理解を深めることができるフォーラムでした。

感動の「水の物語」や大迫力の舞踊の演出のナショナルデーの祭典

サウジアラビア王国は1932年9月23日に王国の統一が宣言され、現在は国民の祝日となっています。

2025年9月23日は王国の建国95周年となり、ちょうど、日本の秋分の日と重なり、さらにお祝いムードが盛り上がります。サウジのナショナルデーの祝典行事は、Expoホールの「シャインハット」で23日に開催されました。ナショナルデーは、通常は500人ほどが収容できる「レイガーデン」で行われるのですが、今回は2000人の「シャインハット」ということで、祭典の熱量の大きさを感じます。

一般の方も入場できるので、この日の為に、数ヶ月前から万博の早朝の入場チケットを予約して、3時間以上並んだという参加者も。会場内ではメディアブースは満席、一般席は立ち見になる盛況ぶりでした。


ナショナルデーの祭典で挨拶をするサウジアラビア王国のファーレフ投資大臣。

国歌斉唱に続き、サウジアラビア王国のファーレフ投資大臣と日本の経済産業副大臣の大串正樹挨氏による挨拶が行われました。ファーレフ投資大臣は、サウジでは、日本文化に関心がある人も多く、寿司も食べることができ、砂漠では日本の四輪駆動車が人気であると話していました。

日本のアニメも若者の間では注目されているそうです。サウジでは、ドラゴンボールのテーマパークの建設予定もあるそうなので、親日ぶりが伺えます。
また、ファーレフ投資大臣は、リヤド万博では、大阪・関西万博で日本が世界の皆さんをもてなしたように、リヤド万博では日本の皆様を温かく迎えたいとも話していました。会場内でも参加者の方からリヤド万博へ行きたくなったという声も聞くこともできました。


会場では日本とサウジの国旗が掲げられました。

次回のリヤド万博の会場の面積は、大阪・関西万博の4倍の広さとなる600ヘクタールで、総事業費は78億ドル(日本円にして1兆円)、半年間で4000万人以上の来場を見込んでいるとのこと。

会場では、16種類の万国博覧会を周ったことのある万博マニアとして万博の情報を発信している、二神 敦さんからもお話を聞くことができました。

今回の大阪・関西万博の広さに驚いている方も多いと思いますが、実は、二神さんいわく、他の万博と比べるとコンパクトにまとまっていて、大屋根リングもあり、とても周りやすい万博なのだそう。上海万博の時は、大阪・関西万博の西側の「未来の都市」と東側の「日本館」のような感覚で、一番遠いパビリオンにいる友達と待ち合わせしようとすると1時間以上かかったとか。

筆者も大阪・関西万博では、一日2万歩近く歩き、毎回疲労困憊なのですが、リヤド万博はその上海万博以上となると聞いて、想像するだけで、呆然としてしまいます。

二神さんはすでに建築中のリヤド万博に視察に行かれたそうですが、東南アジア経由で中東の国に入り、ビザの手配もスムーズだったそう。2030年にはアクセスも整って来るだろうということで、筆者もリヤド万博への関心がより高まりました。


「水の物語」のナショナルデー特別版。

挨拶の後は、フォーラムの目玉のショーの「水の物語」のナショナルデー特別版も披露されました。こちらは、サウジアラビア・パビリオンでも大人気のショーで、一度は見てみたいと思う万博ファンも多いと思います。ただ、長蛇の列の上、開催される日程が限定され、さらに雨が降ると中止になってしまうので、幻のショーともいえます。


サウジアラビア・パビリオンの「水の物語」の会場。中止の場合は上記写真のようなプロジェクションマッピングを楽しむことができます。

ちなみに、筆者も挑戦しましたが、雨で中止となってしまい、どうにかして見たいと切望していたショーでした。

「水の物語」はライブパフォーマンスと没入型プロジェクションマッピングを融合させ、日本の海女とサウジアラビアの真珠ダイバーとの間に力強い共通点を描き出し、世界最大の真珠を探すダイバーの旅を表現しています。

サウジアラビア・パビリオンでの狭い空間の没入感も素晴らしいと思いますが、今回の「シャインハット」の大きな会場のダイナミックな演出も感動的でした。


日本の能楽師とサウジのネイ奏者によるパフォーマンス。

また、日本の能楽師とサウジのネイ奏者による共演もありました。日本とサウジの文化が融合する贅沢な演出でした。


サウジの伝統舞踊「アルダ」

パフォーマンスの最後はサウジの伝統舞踊「アルダ」が披露されました。「アルダ」は、2015年にユネスコ無形文化遺産に登録された伝統剣舞で、部族の戦闘力を誇示し、士気を高めることを目的とした踊りです。

サウジらしい圧倒的なパフォーマンスで、最初から最後まで楽しめた祭典でした。


サウジのパレード。

祭典の後は、「アルダ」を披露したサウジの衣装に身を包んだ楽団のパレードとなりました。

パフォーマーたちはExpoホール「シャインハット」を出発し、Expoアリーナ「Matsuri」へと向かいました。

パレードを一目見ようと、身動きできないほどの人が集まり、大変な盛り上がりでした。その他、サウジアラビア・パビリオン内や万博内のステージ各所で、サウジアラビア関連のパーフォーマンスが行われ、祭典やコンサートに参加できない方もサウジアラビアを感じられる1日でした。

夜はナショナルデーのコンサートが開催

前半の祭典だけでも盛りだくさんの内容でしたが、ナショナルデーの目玉はまだまだ、これから!


ナショナルデーのコンサート。

なんと、日本のアーティストLiSAが出演!こちらは、報道陣にも前日に出演者の情報が入るサプライズでした。

さらに、LiSAとサウジを代表するアーティストのミシャール・タマーとゼナ・エマドと共演もありました。


日本のアーティストLiSA。

LiSAは、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の主題歌「炎(ほむら)」歌い、会場の盛り上がりは最高潮に。日本のアニメが人気のサウジアラビアでは「鬼滅の刃」も大人気で、その主題歌を歌うLiSAは注目のアーティストです。

今回のコンサートでイケメンシンガーとして注目されたミシャール・タマーは、R&B、ロック、中東の要素を融合させ、独特で映画的なスタイルを確立しています。彼のパフォーマンスは、世界中で数百万回の再生回数を記録し、サウジで最も影響力のある若手アーティストの一人として認められています。


サウジアラビアのアーティスト、ミシャール・タマー。

コンサートでの登場で、SNSでも話題になり、参加者を虜にしました。

嬉しい限定のお土産も

祭典とコンサートの参加者全員にナショナルデー限定のトートバッグも配られました。中には、スカーフやうちわ、ピンが入っていて、サウジファンにはたまらないグッズです。また、ナショナルデー限定スタンプもありました。

閉幕まで目が離せないサウジアラビア・パビリオン

サウジアラビアナショナルデーは、2025年大阪万博のサウジアラビア・パビリオンで開催される700以上のイベントの一部です。ナショナルデーだけではなく、リヤド万博の引き継ぎ式を含め、閉幕まで、様々なイベントが開催予定です。
今回のイベントもどうやって参加するのか気になる方も多いと思います。大阪・関西万博では、各パビリオンで予約の募集をするため、公式サイトに情報が出ない場合もあります。今回のナショナルデーの祭典は「シャインハット」の前で並ぶ形で、招待客以外の席に空きがある場合、先着順のようでした。コンサートはサウジアラビア・パビリオンの独自のシステムの事前予約でのチケットが必要だったようです。(*イベントは無料ですが、別途、大阪・関西万博会場への入場チケットの購入と予約が必要です。)
サウジアラビア・パビリオンのサイトにメールを登録すると、イベントなどの最新情報をゲットすることができます。

また、サウジアラビア・パビリオンも「進化する都市」、「持続可能な海」、「人間の無限の可能性」、「イノベーションの頂点」を紹介する没入型ギャラリーがありますので、大阪・関西万博を訪る際にはぜひ、立ち寄ってみてください。

また、会場に来られない方もバーチャル「万博」でサウジアラビア・パビリオンを楽しむことができるので、サイトをのぞいてみて下さい。


サウジアラビア・パビリオンについてはこちらから:https://ksaexpo2025.sa/ja
バーチャル「万博」についてはこちらから:https://www.expo2025.or.jp/future-index/virtual/virtual-site/

取材 Rina Ota