福島ユナイテッドFCは、建設を目指す新スタジアムのコンセプトを「みんなでつくるスタジアム」に決定したことを発表しました。このスタジアムは、日本初の完全木造かつ世界初の循環型木造スタジアムとして構想されており、震災と原発事故から復興を遂げる福島から、希望と再生のメッセージを世界に発信することを目指しています。

福島の木材を活用し市民参加型の建設を計画
新スタジアムの構想では、日本の伝統的な「式年遷宮」の考え方から着想を得て、福島県産の木材を積層して建設する計画です。各部材は分解・再利用可能な設計とし、地域資源の循環を促進します。
特徴的なのは、建設過程にクラブ関係者や地域住民が「お祭り」のように参加できる仕組みを導入する点です。市民が実際に部材制作に関わることで、単なるスポーツ施設ではなく、地域全体で作り上げる象徴的な存在となることを目指しています。
また、植林活動や木工教育を通じて次世代への技術継承も計画されており、資源・文化・技術の持続的な循環に挑戦する意欲的なプロジェクトとなっています。


福島の気候特性を活かしたエネルギー循環システム
新スタジアムでは、福島特有の盆地型気候を最大限に活用した自然エネルギー循環システムの導入が計画されています。具体的には以下のような工夫が盛り込まれています。
- 屋根の形状設計:夏は日射を遮り、冬は冷風を防ぐ
- 外壁の形状変化:夏は風を取り込み、冬は風を遮断
- 雨水の再利用:集水した雨水を濾過して再利用
- 雪氷熱利用:冬季に蓄えた雪を夏季の冷房に活用
これらの自然エネルギー循環の取り組みにより消費エネルギーを削減し、敷地内で生産する再生可能エネルギーを蓄電システムに蓄えることで、エネルギーの自給自足を目指します。
福島ユナイテッドFCは、最終的には持続可能性と再生デザインを評価する世界最高水準の環境指標「Living Building Challenge」の取得に挑戦する計画です。

「不死鳥」の精神を体現する象徴的施設に
このスタジアム構想は、福島ユナイテッドFCのエンブレムに刻まれた「不死鳥」の精神を体現し、震災と原発事故から復興を遂げる福島の希望と再生の象徴として位置づけられています。
福島の地から世界に誇れるリジェネラティブ(再生型)なスタジアムを建設することで、未来への力強いメッセージを発信するという意気込みが感じられるプロジェクトです。
地域資源の活用、市民参加型の建設プロセス、そして先進的な環境技術の導入という多面的なアプローチは、単なるスポーツ施設を超えた、地域再生と持続可能な未来を象徴する施設の誕生を予感させます。
参照プレスリリース:https://fufc.jp/news/12523/