4月4日、今週末の大阪・関西万博2025の開幕に先駆けて、トーマス・ラウ氏の『マテリアル循環革命』(彰国社)が発売されました。サーキュラー建築のパイオニア的存在であり、万博オランダ館のデザインを手掛ける建築家トーマス・ラウ氏と、循環型経済の先駆者サビーン・オーバーフーバー氏が描く、サーキュラーエコノミーの実践的ビジョンが書かれた本です。現在5言語で出版されており、循環経済の分野において世界中の企業やリーダーに影響を与え、企業や大学では教材としても活用されています。
CE.Tでは昨年夏、アムステルダムのRAUアーキテクツを取材、その際にラウ氏の著書「Material Matters」についても伺いました。ちょうど日本版の発売が決まったところで、発売日が待たれていました。

日蘭の親交425年目〜万博に向けての特別寄稿も
今回の日本語版には、特別寄稿として「コモングラウンドの新たな夜明け」という章が加えられており、大阪・関西万博オランダ館のテーマ、循環性、そして「エコノミーからエドノミーへ」というタイトルで、江戸時代の循環社会(エドノミー)についても触れられています。
日本とオランダの親交が生まれたのは江戸時代に遡ります。1600年、リーフデ号が日本沿岸に上陸し、1609年、徳川幕府はオランダと独占貿易協定を結び、平戸(後の出島)に最初のオランダ商館が設置されたのです。
リーフデ号の上陸から今年でちょうど425年。江戸とオランダの循環の精神が、大阪万博によって新たなつながりとして展開されます。
エドノミーの原則が、革新的な方法によって素材を再利用しエネルギーを活用する完全循環型の建物であるオランダパビリオンを通じて、日本に戻ってきます。(中略)このパビリオンは、エドノミーの精神を受け継ぎ、私たち自身の今のニーズを満たすだけでなく、未来の世代の遺産を守る世界のためのマニフェストなのです。
『マテリアル循環革命』より
書籍の内容
(アマゾンの販売サイトより)
マテリアル循環革命
サーキュラーエコノミーが拓くビジネスと社会の未来
[内容紹介]
監訳者序文 マテリアルの循環革命 野田由美子
日本語版序文 マーク・カウパース
序文 デイム・エレン・マッカーサー
イントロダクション
第1章 問題が仕組まれた製品
第2章 直線型経済
第3章 宇宙船地球号という閉鎖型システム
第4章 永続的な一時性
第5章 ゲームのルールを変える
第6章 マテリアル・パスポート
第7章 マダスター(madaster)
第8章 世界素材権宣言
第9章 マテリアル・アズ・ア・サービス 素材の所有を再考する
第10章 コペルニクス革命を完結する
日本語版特別寄稿 コモングラウンドの新たな夜明け
2025年大阪・関西万博のオランダパビリオン ―日本の歴史から考える未来の経済
付録1 「世界人権宣言」 「世界素材権宣言」
付録2 所有から享受へ
解説 日本における「循環」の過去・現在・未来 田中浩也
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この本を読むことで、サーキュラーエコノミーについて深く理解できるとともに、大阪・関西万博の楽しみ方がまたひとつ増えることは間違いありません。