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地域住民や親子連れ約500名が参加した「サステナブルフェス2025」レポート【ホテル日航つくば】

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サステナブルな取り組みを積極的に行うホテル日航つくば(茨城県つくば市)では、6月8日、3回目となる「サステナブルフェス」を開催しました。このイベントは、過去2回の取り組みが評価され、令和6年度の茨城県「地球にやさしい企業表彰 環境パートナーシップ部門」を受賞しています。参加者も出展者も増え、年々拡大していくという当イベントについてレポートします。

つくばエクスプレス「つくば駅」からすぐのロケーション「ホテル日航つくば」

地域の人々で賑わうイベント

イベントは、11時のオープン前から列ができるほどの大盛況。列には親子連れが目立ちます。アニメキャラなども登場しないSDG sのイベントなのに、なぜこのように家族連れが集まるのでしょうか。今回のイベントの責任者である同ホテル マーケティング部部長 滝川礼子氏にお聞きしました。

ーこのイベントはどのような目的で行っていますか。

滝川氏「SDGsを身近に感じていただくこと、そして当ホテルの取り組みを地域の皆さまに知っていただくことを目的に開催しており、今年で3回目になります。昨年は1Fロビーでの開催でしたが、今回はおかげさまで出展者様も増えましたので規模を拡大して宴会場を会場にし、約300人の来場者を見込んでいます(追記:最終的な来場者数は480名)」

ーご家族連れが多いので驚きました。

滝川氏「はい、学園都市であるつくば市は教育熱心なご家庭が多く、今回もお子さんをお持ちのファミリーに多数集まっていただいています。自社ホームページやSNS、そしてポスティングを行って告知をしました。無料で気軽に参加できるイベントということもあり、このように近隣の方を中心にたくさんの皆さまに足を運んでいただいたのだと思います」

「過去2回の当イベントの取り組みが評価され、茨城県知事から表彰状をいただきました」と語る滝川部長。

親子でSDGsを学ぶ多様なワークショップ

出展ブースは20を数え、ワークショップや参加型の体験も多数行われていました。

つくば日航ホテルでは、調理部員が考案した3つのサステナブルメニューのコンテストを参加者が試食し、投票を行っていました。

食品ロス削減をテーマにホテル日航つくばの調理部員が考案したメニューは、一次選考、二次選考を経て、決戦に進んだ3品からグランプリが決定する。

他にもペットボトルキャップでの工作、コーヒーのロス豆を使ったブレンド体験、バラで作るオリジナルカード製作など、思わず体験してみたくなるサステナブルなテーマのものが多くありました。また、筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センターによる 視覚障害と鍼灸あん摩マッサージ指圧ブースは大人に人気を博していました。

裁断時の余紙を使った花のカード製作(いばらきフラワーパーク)
大人にも子どもにも人気だったコーヒーブレンド体験(三本珈琲株式会社)

そんな中でも一番人気、予約がすぐ埋まってしまったというのが、自動販売機の缶コーヒーでおなじみダイドードリンコ株式会社による「段ボールで自動販売機を作ろう」のワークショップ。

参加者には工作キットが渡され、所要時間約50分で、写真のような段ボール製の自動販売機ができあがります。

自動販売機の真ん中にはオリジナルのドリンクも入れられる。

隣町から来た鈴木さんファミリーは、小4と小2のお子さんがそれぞれ熱心に取り組んでいました。今年が2回目の参加で、昨年はこの工作の予約が終了していたため、今年は事前申し込みをされたそうです。

金融機関にお勤めという鈴木さん、「子どもたちが気になるワークショップがいろいろあり、勉強にもなるので来ました」

食品ロスについての2つの講演

会場では、講演も行われました。環境省 リサイクル推進室 小田戸 聡氏と株式会社セブン&アイ・フードシステムズの中上冨之氏が登壇。省庁と飲食事業者というそれぞれの立場から食品ロスの概況や、現在の取り組みについてのプレゼンは、生活者の日常的な行動変容を促す内容となりました。

環境省 リサイクル推進室 小田戸 聡氏(左)株式会社セブン&アイ・フードシステムズの中上冨之氏(右)

環境省では、2030年度までに家庭系食品ロスを216万トンまで削減する目標を掲げており、2022年時点で235万トンまで減少していることの報告がありました。各自治体が実施するごみ調査の結果を基に、全国の食品ロス量を推計していると説明し、個人の生活習慣に合わせた取り組みの重要性が強調されました。

中上氏は、食品ロス削減と地球温暖化の関係について、動画や具体的なデータを交えながら説明しました。世界で生産される食料の45%が捨てられており、その中には畑で廃棄される14%も含まれると指摘。食品廃棄物の焼却によるCO2排出量は、自動車の排出量に匹敵する8%以上を占めているという衝撃的な事実を明らかにしました。

中上氏は土壌の重要性にも言及し、1cmの土壌が形成されるのに世界平均で500年、温暖湿潤で条件の良い日本でも100年かかることを説明。例として、茨城の名産であるレンコンの栽培には45cmの土壌が必要であり、その形成には4500年以上の時間を要すると述べ、食べ物の大切さを強調しました。

また、デニーズが2021年から取り組んでいる「mottECO」運動について詳しく紹介。この取り組みは、食べ残しを自己責任で持ち帰り、家で食べきることでごみを減らす試みです。環境省が命名したこの運動は、現在北海道から沖縄まで1000店舗以上に広がっており、2024年には82トンの食品廃棄物削減に成功しています。

最後に、アインシュタインの言葉を引用しながら、「今日頼んだものを全部食べきる」「買ってきたものを賞味期限内に全部食べきる」といった小さな行動の積み重ねが、地球温暖化対策につながると中上氏は訴えました。

SDGsのイベントというとどうしても堅苦しいものになりがちですが、ホテル日航つくば「サステナブルフェス」は、出展企業が提供する工夫に満ちたワークショップや体験により、子どもから大人まで、楽しみながら環境について学ぶ場が用意され、熱気さえ感じられるものでした。