3月21日、静岡県富士市で「NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット」主催のセミナー&見学会が行われ、自治体の担当者、企業、学校関係者などが参加しました。
訪問したのは、サステナブルな取り組みに積極的な企業として知られる製紙会社 株式会社コアレックス信栄株式会社。従来は再生が困難とされていた紙製品を独自の技術でトイレットペーパーに再生する同社の取り組みが、様々な分野で注目を集めています。
本記事では、同社が取り組むサッカークラブや芸能事務所、自治体、観光協会など、異業種との協業を通じて広がるリサイクルの輪と、その先にある環境教育や地域貢献の可能性について紹介します。

トイレットペーパーの工場見学
まずは工場見学を行いました。コアレックスの紙リサイクルの特徴は、ドリンク用紙パック、紙コップ、パンフレット、レシート、切符など、これまで焼却処理することが多かった「難再生古紙(再生が難しい古紙)」でもリサイクルができる技術です。これらの紙に付着しているアルミや磁気など紙以外の素材を分離し、異物を取り除く独自技術を使って紙の繊維のみを抽出、トイレットペーパーなどの再生紙への加工が可能になります。これによって、焼却に伴う二酸化炭素の排出を削減すると同時に、資源化できるごみの比率を上げることができるのです。




工場見学のあとは、同社が取り組む、自治体や企業などとの産官学連携のプロジェクトについて、各担当者の方から説明がありました。
清水エスパルスとの協働プロジェクト
コアレックス信栄は、清水エスパルスとの協働プロジェクト「コアレックス&エスパルスエコチャレンジ TO 2050 SDGs環境教育プログラム」を展開しています。このプロジェクトでは、エスパルスサッカースクールに通う子どもたちが中心となり、県内5拠点で家庭から出る雑紙の回収に取り組んでいます。エリア別に回収量を競い合うゲーム感覚の取り組みは、子どもたちの環境意識を高めるとともに、家族や地域全体へのリサイクル啓発にもつながっています。2024年度の1年間で約35トンもの雑紙が集められ、コアレックス信栄の技術によってトイレットペーパーに生まれ変わりました。
この成果を地域に還元するため、2025年2月7日には富士市役所で寄贈式が行われ、富士市立の全小中学校に2,025ロールのトイレットペーパーが贈呈されました。
吉本興業との共同開発
エンターテインメント業界との連携も進んでいます。吉本興業とコアレックス信栄は、2024年3月1日に「うんちくんのトイレットペーパー備蓄用」を共同開発・発売しました。この商品は、吉本興業の本社から発生する紙ごみをリサイクルして作られたトイレットペーパーを、防災用品としてデザインしたものです。1パックで4人家族が1ヶ月使用できる量が入っており、災害時の備えとしても活用できます。
狙いは、お笑いの要素を取り入れることで、堅苦しくなりがちな防災用品のイメージを変えることです。キャラクターを使うことで、楽しみながら防災意識を高めてもらうという狙いです。「エンターテインメント業界との協業は、リサイクルの重要性を幅広い層に伝える絶好の機会。今回の取り組みを通じて、多くの人々に環境問題への関心と防災意識を持ってもらえると期待しています」と担当者が商品開発の意図を説明しました。

裾野市とのリサイクル協定
さらに、自治体との連携も進んでいます。2025年1月、コアレックス信栄は裾野市と「ミックスペーパーのリサイクルに係る連携と協力に関する協定」を締結しました。これまで裾野市では、アルミのついた紙パックやレシート、写真などを可燃ごみとして処理していましたが、コアレックス信栄の技術によってこれらの難再生古紙を再資源化できることが分かり、協定締結に至りました。
2025年4月からは、裾野市が市民へのミックスペーパーの分別啓発活動を積極的に行い、回収したミックスペーパーをコアレックス信栄がトイレットペーパーに再生する取り組みを開始します。
渋谷区観光協会との事業
渋谷区との取り組みも注目を集めています。2024年12月16日の「紙の日」から、コアレックス信栄は渋谷区観光協会と株式会社デイトナ・インターナショナルと協働で「再生FREAK」と題し、古紙再生プロジェクトを始動しました。このプロジェクトでは、デイトナ・インターナショナル本社と渋谷区内のセレクトショップFREAK'S STOREで発生したオフィスペーパーやレシートなどの紙をリサイクルBOXへ回収し、コアレックス信栄でトイレットペーパーにリサイクルしています。
回収量は多い時で1回約600kgにも及び、トイレットペーパーに再生することで、木の伐採を一定量減少、温室効果ガス排出を抑制するなどで総合的に環境負荷低減に大きく寄与すると考えています。また、セレクトショップが関わる強みとして、リサイクルしたトイレットペーパーの包み紙を、FREAK’S STOREならではの視点でデザイン監修したオリジナルトイレットペーパーも制作。リサイクルされたトイレットペーパーは渋谷区内の小学校などに寄贈され、子どもたちが環境問題に触れるきっかけとして活用されています。

資源化できる紙の種類を広げることができる同社の技術によってリサイクルの可能性が大きく広がります。この視察を通じて、スポーツ、エンターテインメント、行政、観光など、それぞれの分野の特性を生かしながら、環境保護と社会貢献を両立させる新しいモデルを作り上げる姿を見ることができました。

コアレックス信栄 https://corelex.jp/
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット http://www.genki-net.jp/