株式会社ロッテは、2025年1月から狭山工場において、コアラのマーチの製品箱を再び製品箱としてリサイクルする「クローズドリサイクル」※の取り組みを開始しました。この取り組みは、古紙原料の安定供給と品質維持を目的としており、循環型社会の実現に向けた重要な一歩となります。
※クローズドリサイクル:マスバランス方式によるクローズドリサイクル。マスバランス方式とは、ある特性を持った原料(この取り組みでは、ロッテ工場より排出した古紙)がそうでない原料(一般に回収された古紙)と混合される場合に、原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性を割り当てる手法のこと。
深刻化する古紙問題への対応
日本の古紙回収率は81.6%、古紙利用率は66.8%と高水準にあるものの、菓子箱などに使用される白板紙の原料となる雑誌古紙の発生量は年々減少しています。この問題は製紙業界にとって深刻な課題となっており、安定した古紙需給を支え、古紙品質を維持するためには、より一層の古紙分別排出の徹底や高品質な古紙供給体制の整備が求められています。
ロッテの今回の取り組みは、こうした社会的背景を受けて開始しました。事業所から排出される古紙のトレーサビリティを向上させることで、貴重な再生資源である古紙の確保と有効活用を図ります。
「コアラのマーチ」が循環の輪に
具体的には、生産ロスなどで排出された製品箱などの古紙を、コアラのマーチの新しい製品箱としてリサイクルします。この取り組みにより、回収された古紙の利用先管理が可能となり、トレーサビリティが向上しました。
ロッテは「循環型社会への貢献」をESG目標に掲げており、プラスチック削減やリサイクル素材、環境配慮紙の活用など、環境配慮設計に取り組むだけでなく、廃棄後の有効活用や資源循環にも力を入れています。
広がるリサイクルの輪
コアラのマーチの取り組み以外にも、ロッテは他の工場でも先進的なリサイクル施策を展開しています。
2023年からは浦和工場で排出される段ボールのクローズドリサイクルを実施。使用済みの段ボールを回収・再資源化し、再び自社製品に使用しています。また、2024年9月からは狭山工場で、これまで焼却処分されていたガムボトルのラベル台紙のマテリアルリサイクルを開始しました。
一般社団法人ラベル循環協会(J-ECOL)の支援を受け、古紙資源として扱われてこなかったラベル台紙を適正に回収・処理し、資源循環させる仕組みを構築しています。
企業の環境への取り組みがもたらす社会への影響
ロッテの一連の取り組みは、企業の環境への取り組みが具体化している好例です。特に、コアラのマーチの製品箱のクローズドリサイクルは、消費者にとって身近な製品を通じて環境問題への取り組みを可視化している点で注目に値するでしょう。
この取り組みは、古紙問題への対応策としても重要な意義を持ちます。雑誌古紙の減少による白板紙原料の不足という業界全体の課題に対し、自社で排出する古紙を効率的に再利用するという解決策を提示しています。また、大手企業がこうした先進的な取り組みを行うことで、同業他社や取引先企業にも影響を与え、業界全体の環境意識向上につながる可能性があります。
日常的に目にする菓子のパッケージがリサイクルされていると知ることで、消費者の環境問題への関心も高まり、日々の生活における環境配慮行動を促進する効果が期待できます。
一方で、クローズドリサイクルの実現には技術的・経済的な課題も存在しています。リサイクル過程での品質維持や、コスト面での課題をいかに克服していくかが、今後の取り組みの持続可能性を左右する重要なポイントとなるでしょう。
ロッテの取り組みは、企業活動と環境保護の両立、そして循環型社会の実現に向けた重要な一歩である。今後、この取り組みがさらに拡大し、社会全体の持続可能性向上につながることが期待されます。
ニュースソース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002397.000002360.html