4月14日から18日まで第8回世界循環経済フォーラム(World Circular Economy Forum )2024がベルギー・ブリュッセルで開催されました。
WCEF2024は、フィンランドのイノベーション基金である Sitra が主催し、Circle Economy Foundation (プログラム パートナー) および International Resource Panel (サイエンス パートナー) の協力により実施され、世界をリードするサーキュラーエコノミーの関係者が一堂に会し、経済システムと自然の限界をいかに調和させ、より持続可能な未来への移行を加速させるかについての解決策を探るイベントです。Circular Economy.Tokyoでは現地レポートを通してサーキュラーエコノミーの先進地域である欧州を中心に、その最新事情をご紹介します。
サーキュラーエコノミーを「ビジョン」から「アクション」へ
今年のWCEFは、「Turning circular visions into actions(循環のビジョンを行動に移そう)」というテーマのもと、政府関係者、欧州連合関連組織、投資銀行や企業から代表が集まり、4日間にわたるセッションや展示が行われました。
前半2日間は、大会場にて4回のプレナリーセッション、小会場にてテーマ別の16回のワークショップが行われ、後半2日間は、ブリュッセルの各地でパートナー団体主催のアクセラレータープログラムが開催されました。
開会式では、International Resource Panel (IRP)の共同議長 Janez Potočnik氏より、世界人口の急増に伴い資源利用のあり方への見直しの必要性について話されました。
また、多国間開発銀行 (MDB) は「サーキュラーエコノミーにおける MDB の役割に関する新たな共通ビジョン」を発表し、セッションでは各国の理事が登壇し、今後の財政のあり方について議論し注目を集めました。サーキュラーエコノミーを推進するためにMDBが担う役割として、(I)企業等への融資と助言活動を強化するために内部のキャパシティを強化していくこと(II)サーキュラーなソリューションがどのような経済的価値を生み出すことができるのかを実証するための方法を探求すること(III)セクターを超えた資源効率への考慮を強化すること(IV)民間、市民、自治体、政府との情報交換を強化することを行うと発表されました。
各国のキーパーソンが対話を通して共に課題に向き合う
WCEFの特徴の一つが、「対話」によるネットワーキング。ワークショップは一方的なプレゼンテーションではなく、テーブル毎のグループで課題に取り組み、ディスカッションするという内容。
SITRA主催の「循環型ソリューションによる自然に優しいビジネス開発」のワークショップでは、同団体が会期中に発表した「Nature Playbook」を参考に、「生物多様性を考慮した自然環境にプラスの影響を与える事業モデルに変換していくにはどうしたら良いか」という問いに対し、課題の発見からアクションプランまで考えました。
チームごとに対象とする事業を選び、以下の3段階のアプローチを踏んでアクションプランを発表しました。
- バリューチェーンにおける生物多様性に最も大きな影響を与えている項目を特定。
- それらの影響に対処するために循環型ソリューションを選定。
- そのための具体的なアクションプランを考える
ワークショップでは、個人ワークではなくチームで1つの課題に取り組むことで、 互いの国の課題に関心を持ち、自分毎として捉えて議論に参加するというプラクティスが体現されていました。
新素材やリユースシステムの仕組みを多数展示
昨年に引き続き、展示団体は出来るだけごみを出さないというイベントの運営方針に対応し、チラシや物品の配布はせず、必要最低限の資料、モニター映像、サンプルの展示のみで、対話重視のネットワーキングが行われました。また、名刺交換の際も参加者は紙の名刺は持たず、LinkedInやWhatsAppのQRをスキャンして連絡先を交換することが本イベントのスタンダードとなっています。
今年の出展はスタートアップを支援する財団や欧州連合や政府関連組織のプラットフォーマーのブースが多く、スタートアップと開発した新素材や技術が紹介されました。
資金や広報面を支援する団体や企業同士の繋がりが強く、複数社の技術やアイディアを持ちより事業の拡大に取り組んでいる様子が伺えました。
企業の展示内容については、vol2の記事で詳しくご紹介します。