サステナビリティが重視されるイベント業界
―大谷さんのお仕事の内容を教えてください。
企業ミーティングやイベントのプランニング・運営を行う株式会社DMCで国内外の国際団体や製薬会社、製造業などが主催するイベントのお手伝いをしています。規模としては、100〜300人規模が多く、北海道や関西方面など、首都圏以外の開催にも対応しています。
―イベント業界でもサステナビリティが重視されていますが、これはいつ頃からでしょうか。
2015年に国連でSDG sが採択され、改めてサステナビリティの重要性が世界的に注目されましたが、日本でもコロナ前の2018年〜2019年ぐらいからCO2排出への配慮が強く意識されるようになったと感じています。
―御社ではいつ頃からサステナビリティに取り組まれていますか。
弊社の創立は2013年ですが、プリプレス(グループ会社の株式会社プリプレス・センター)では16年前の2008年、洞爺湖サミットをお手伝いしており、そこで紙を使用した音楽パッケージや、アップサイクル素材の使用など環境配慮の取り組みを行いました。それ以来、おかげさまでサステナビリティを意識したイベント企画運営を得意とする会社という評価をいただいております。
―今回、フィンランド視察に参加を決めた理由を教えてください。
一つには、北欧の現場を見たいということでした。北欧地域は、都市機能を含めてサステナビリティに取り組み、整備されているというがこの業界の中でもよく知られていますので、その現場を見て、新たな情報を得たいということがありました。
もう一つは、この視察が「サーキュラーエコノミー」に特化していたことです。サーキュラーエコノミーが重要であることは認識していましたが、ミーティング業界ではまだ認知がそこまでありません。サーキュラーエコノミーの打ち出し方や、どう業務に取り込めるのか、我々でも手を着けられる余地があるのかなど、現場を見て確認したいという思いがありました。
「ふわっと」がクリアに見えるように
―実際に参加してみて、印象に残ったことを教えてください。
それまでCEの取り組み方が、何となくふわっとしていましたが、参加したことでクリアに見ることが出来ました。初日に行ったサーキュラーデザインのワークショップがとても良かったですし、ヴィリカラ社やレスター社の工場見学を通じて明確に見えたものがありました。
CEは言葉のインパクトが強くて、生半可ではできないイメージがあったのですが、現地で実際に現場を見て、そうではなく、ちょっとしたきっかけで広げていける、取り組みやすいものではないかと感じることができました。
―DMC社の今後の展開を教えてください。
主催者様への企画ご提案については、サステナビリティを特に求められなくても行っています。予算上通らないというのはありますが、主催者様にメリットのある形でどう提案できるか、情報発信や見える化をどうするか、お客様のブランディングになるような打ち出し方など、主催者様にご提示できるように心がけていきたいと思います。
サステナビリティやCEへの関心度は高まっていますが、二極化していると思います。なんとなくやらなきゃと思っているけど何からやっていいかわからないという方もまだまだ多いようです。私たちは何か商品を持っているわけではなく、あくまで企画をして、ベンダーの皆様と一緒に調達・施工・運営する仕事です。ですから、理解していただける協力先をもっともっと増やしていくことが大事だと思っています。
―最後に一言お願いします。
今回の視察は、まさに「百聞は一見にしかず」を肌身で感じられるものでした。同業者の視察ではなく、いろんな参加者がいて、他業種の方の考え方を得られることで学びが大きかったです。混在していることで、逆にヒントになると思いました。また、ぜひやってほしいです。