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「30by30」とは

30by30とは、生物多様性の保全を目的として、2030年までに地球上の陸域と海域の30%を保護地域に指定し、自然環境の保全を促進する国際的な目標のことを指します。

30by30(サーティ・バイ・サーティ)は、2021年に開催された国連生物多様性条約(CBD)の第15回締約国会議(COP15)をはじめ、さまざまな国際会議で議論されてきた重要な環境保全目標です。この目標は、生物多様性の急激な喪失を食い止め、自然生態系の回復を促進するために設定されました。気候変動や人間活動による影響で、多くの生態系が破壊され、生物多様性の危機が深刻化している現状を踏まえ、国際社会が協力して具体的な保護策を講じることが求められています。特に、森林破壊や海洋汚染の進行を抑えるため、各国が自国の陸域や海域の30%を保護区域に指定し、生態系の健全性を維持することを目的としています。

30by30の目的は、生物多様性の保全を通じて、持続可能な社会を実現し、気候変動の影響を軽減することにあります。

生態系の破壊が進むことで、動植物の絶滅が加速し、食料生産や水資源の確保にも深刻な影響を及ぼすとされています。特に、森林や湿地、サンゴ礁といった生物多様性のホットスポットとされる地域の保全は、気候変動対策としても重要視されています。森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の進行を抑制する役割を果たしており、サンゴ礁やマングローブ林は海面上昇や暴風雨による被害を軽減する自然の防波堤の役割を担っています。30by30は、このような重要な生態系を守ることで、長期的に人間社会の安定と繁栄を確保しようとするものです。

また、この目標の達成には、政府だけでなく、企業や地域社会、市民の協力が不可欠です。例えば、企業は持続可能な原材料調達の方針を策定し、生態系の破壊を伴わない事業活動を推進することが求められます。また、地域住民は伝統的な知識を活用しながら、持続可能な資源管理を行うことで、30by30の実現に貢献することができます。加えて、観光業や漁業といった産業の関係者も、環境負荷を抑えつつ経済活動を行うための工夫が必要となります。

30by30は、従来の環境保護政策を強化し、より包括的な生態系の管理と保全を推進する枠組みとして位置付けられます。

過去にも国際社会は生物多様性保全に関するさまざまな目標を掲げてきましたが、その多くが十分に達成されていないという課題があります。例えば、2010年に採択された愛知目標では、2020年までに生物多様性の損失を抑えることが掲げられましたが、十分な進展は見られませんでした。こうした反省を踏まえ、30by30ではより具体的な行動計画の策定と実行が求められています。具体的には、各国が保護区を適切に管理し、生物多様性の監視システムを強化すること、また、地域住民の意見を取り入れながら保護活動を推進することが重要視されています。

さらに、30by30は、国際的な環境保全の枠組みである「グローバル・バイオダイバーシティ・フレームワーク(GBF)」とも密接に関連しています。GBFは、2030年までに生物多様性の損失を逆転させることを目的としており、30by30はその中心的な柱のひとつとされています。このため、各国はGBFの指針に基づき、国家戦略を策定し、具体的な保全目標の達成を目指しています。

30by30の実現には、多くの課題が伴います。例えば、保護区域の設定に関して、経済開発とのバランスをどのように取るか、また、地域住民の生活とどのように両立させるかといった問題があります。特に、発展途上国においては、経済成長のために森林伐採や鉱山開発が進められることが多く、環境保全との両立が難しい場合もあります。そのため、国際的な資金援助や技術支援の強化が必要とされています。

このように、30by30は単なる環境保護のスローガンではなく、持続可能な未来を築くための具体的な行動指針として注目されています。これからの10年が、地球の生態系を守るための重要な期間となるため、国際社会全体で協力し、この目標の実現に向けて取り組むことが求められています。