専門用語集

「都市鉱山」とは

都市鉱山とは、使用済みの電子機器や産業廃棄物に含まれる貴金属やレアメタルなどの有価資源を、鉱山資源のように回収・再利用する考え方を指します。

都市鉱山は、現代社会における廃棄物の増加と資源の枯渇問題を背景に注目されています。スマートフォンやパソコン、テレビなどの電子機器には金や銀、銅、パラジウム、リチウムなどの貴金属や希少金属が含まれており、これらは適切な回収・精錬を行うことで新たな資源として活用できます。日本では、特に金属資源の大半を輸入に頼っているため、国内に眠る都市鉱山の有効活用が資源循環の観点からも重要視されています。例えば、使用済みの携帯電話から金を回収し、新たな電子機器の製造に利用することで、限りある天然資源の消費を抑えることが可能になります。

都市鉱山の活用目的は、資源の有効利用を促進し、環境負荷を低減することにあります。

鉱山開発には多大なエネルギーが必要であり、採掘に伴う環境破壊や二酸化炭素排出などの問題が指摘されています。都市鉱山を活用することで、従来の採掘に比べて環境への負荷を軽減しながら、必要な金属資源を確保することができます。さらに、廃棄物の不適切な処理による環境汚染のリスクも低減できます。例えば、電子機器の不適切な廃棄による有害物質の流出を防ぐために、リサイクル技術を高度化し、適切なプロセスで資源を回収することが求められます。日本では、使用済み小型家電リサイクル法の施行により、電子機器の回収・リサイクルが促進され、都市鉱山からの資源回収が一層進められています。

都市鉱山の活用は、循環型経済の実現に向けた重要な取り組みの一つです。

従来の直線型経済(リニアエコノミー)では、資源を採掘し、製品を製造・使用した後、廃棄するという一方通行の流れが主流でした。しかし、サーキュラーエコノミー(循環型経済)においては、使用済み製品から有用な資源を回収し、再利用することで、資源の枯渇を防ぎながら経済活動を持続させることが求められています。都市鉱山はその考え方に合致しており、電子機器や産業廃棄物から高価値な資源を取り出し、再び製造プロセスに組み込むことで、資源の効率的な利用が可能となります。また、都市鉱山の活用を進めることで、国内における資源の自給率を向上させ、経済的な安定性を高める効果も期待されています。

このように、都市鉱山の概念は資源循環の観点から重要であり、環境負荷の低減や資源の有効活用、サーキュラーエコノミーの推進に寄与するものとして今後さらに発展が期待されています。