専門用語集

「デカップリング(分離)」とは

デカップリング(分離)とは、 経済成長と環境負荷の増加を切り離すことを指します。

従来の経済モデルでは、経済成長に伴い資源消費や環境への負荷も増加する傾向がありました。しかし、デカップリングはこの関係を断ち、経済が成長しながらも資源の使用量や環境負荷を低減させることを目指します。具体的には、エネルギー効率の向上、循環型経済の推進、再生可能エネルギーの導入、デジタル技術の活用などが、デカップリングを実現するための重要な要素とされています。

デカップリングの目的は、持続可能な発展を可能にすることにあります。

経済成長が続く一方で、気候変動や生物多様性の損失、資源枯渇などの環境問題が深刻化しており、従来の成長モデルでは将来的な持続可能性が確保できないと考えられています。そのため、資源の効率的な利用やエネルギー転換を促進し、経済活動が環境負荷を引き起こさない形で発展する仕組みが求められています。例えば、企業が製品のライフサイクル全体を考慮し、廃棄物の削減やリサイクルを取り入れることで、環境への影響を抑えながらも経済活動を続けることができます。また、政府による規制や炭素税の導入などの政策も、デカップリングを推進する重要な手段となります。

デカップリングは、循環型経済の実現に向けた重要な概念の一つです。

リニアエコノミー(直線型経済)では、資源の採取・生産・消費・廃棄という一方向の流れが一般的ですが、デカップリングが進むことで、資源の再利用やリサイクルを促進し、廃棄物の発生を最小限に抑えることが可能になります。例えば、製造業における「リマニュファクチャリング(再製造)」の導入や、サービス経済の発展による物の所有から利用へのシフトなどが、デカップリングの実践例として挙げられます。さらに、技術革新が進むことで、環境負荷を削減しながらも経済的な価値を創出する新たなビジネスモデルの開発が期待されています。

このように、デカップリングは経済成長と環境負荷の削減を両立させるための重要な考え方であり、持続可能な社会の実現に向けた鍵となる概念です。サーキュラーエコノミーの推進とともに、今後さらに注目されることが予想されます。