気候変動枠組条約(UNFCCC)とは、地球温暖化を含む気候変動問題に対処するために国際的に締結された条約であり、各国が協力して温室効果ガスの排出削減や気候変動の影響への適応を進めるための枠組みを提供するものである。
1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された「地球サミット」(国連環境開発会議)で採択され、1994年に発効したこの条約は、世界のほぼすべての国が加盟する国際協定である。UNFCCCの主な目的は、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、人為的な気候変動の影響を抑制することにある。そのために、各国は温室効果ガスの排出量を報告し、削減対策を講じることが求められる。UNFCCCは法的拘束力を持つ具体的な削減目標を規定するものではないが、後に採択された「京都議定書」や「パリ協定」などの国際協定の基盤となった。
-1760x1320.jpg)
気候変動枠組条約の目的は、地球温暖化を防ぎ、持続可能な社会を構築することにある。
気候変動の影響は、地球規模での平均気温の上昇、異常気象の頻発、海面上昇、生態系の変化など多岐にわたる。UNFCCCは、こうした問題に対処するために、各国が協力し合い、適応策と緩和策を実施するための基盤を提供する。緩和策としては、化石燃料の使用削減、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の向上などが挙げられる。一方、適応策としては、沿岸地域の防災強化、農業の適応技術開発、気候変動に強い都市計画の策定などがある。
また、UNFCCCの下で開催される「締約国会議(COP)」は、気候変動に関する国際交渉の場として極めて重要である。特に、1997年のCOP3で採択された「京都議定書」は、先進国に対し具体的な温室効果ガス削減目標を設定した歴史的な合意である。また、2015年のCOP21で採択された「パリ協定」は、すべての国が自主的に排出削減目標(NDC:国別貢献)を設定し、5年ごとに見直すことを義務付けるなど、より包括的で柔軟な枠組みを確立した。
気候変動枠組条約(UNFCCC)は、持続可能な経済システムへの移行を促進し、サーキュラーエコノミーとの親和性が高い。
気候変動対策とサーキュラーエコノミーは密接に関連しており、循環型経済への移行は温室効果ガスの排出削減に大きく貢献する。たとえば、資源の効率的な利用や廃棄物の削減は、生産・消費の過程で発生するCO2排出量の削減につながる。また、リサイクルや再利用、修理といった循環型のビジネスモデルは、新たな資源採掘や製造プロセスによる環境負荷を低減する役割を果たす。
近年、EUを中心に「欧州グリーンディール」などの政策が推進されており、気候変動対策とサーキュラーエコノミーを統合的に進める動きが強まっている。日本でも、「2050年カーボンニュートラル」目標の達成に向けて、循環型経済の推進が不可欠とされている。企業や自治体も、再生可能エネルギーの活用、省エネ技術の導入、サプライチェーン全体での排出削減など、さまざまな形でUNFCCCの目標に貢献している。
このように、気候変動枠組条約(UNFCCC)は、国際的な気候変動対策の基盤であり、各国政府、企業、市民社会が協力して持続可能な未来を実現するための重要な枠組みとなっている。サーキュラーエコノミーとの連携を強化し、より効果的な温暖化対策を進めることが、今後の課題となる。